本記事では、このような疑問にお答えします。
こんな方に読んでほしい
- 企業の研究職に興味のある理系学生
- インターンに参加すべきか研究に時間を割くべきか迷っている理系学生
- インターンをきっかけに優秀な学生を確保したい人事担当者
ブログ経由で就活の相談を受けている学生さんから、インターンについての質問を頂いたことが本記事作成のきっかけです。
結論から話すと、研究職の内定にインターンは必須ではありません。
そもそも「◯社以上のインターンに応募する」というのは、志望する企業の内定を獲得するという就活の本質からずれていますよね。
私の経験として、インターンには1社も参加しませんでしたが、製薬や消費財、食品業界の複数社から研究職の内定を獲得することができました。
一方で、私が就活をしていた数年前と比較し、インターンの立ち位置が変化していることも事実です。
そこで本記事では、企業で研究する私の経験や最近の就活の状況をもとに、研究職志望ならインターンに参加すべきかについて深掘りしていきます。
目次
インターンにおける学生の視点と企業の視点の違い
そもそも学生はインターンに何を期待していて、企業はどのような目的でインターンを開催しているのでしょうか。
まずは学生側のデータを見てみましょう。
「業界・企業・職種理解を深めるため」や「就活の予行演習」、「自己分析を深めるため」など、インターンの目的が就活の準備にあることが伺えます。
一方で企業がインターンを開催する目的は何でしょうか。
最も高い割合の目的は「業界・仕事の理解を促進させること」にあるようですが、「入社意欲の高い学生を絞り込む」「採用を意識し学生のスキルを見極める」などが続き、まさに就活本番、採用そのものをインターンの目的としていることがわかります。
私も企業に所属してから知ったのですが、就活やインターンには相当の人的コスト、金銭的コストがかかっています。
コストがかかる以上、企業としてはその見返りとして優秀な学生を確保することが求められて当然です。
もちろん、自社のことを学生に知って欲しいと考えている人事担当がほとんどだとは思いますが、上記の数値以上に本採用を意識している企業があると思って間違いありません。
インターンの目的を、就活の準備としている学生と採用そのものと考えている企業に大きなギャップがありそうですね。
食品メーカーのインターン実施状況
では、実際にインターンを実施している企業がどのくらいあるのか見てみましょう。
ここでは、私が所属する食品業界のインターン実施状況についてまとめています。
就職四季報をもとに、食品業界の人気企業上位20社ほどの情報をまとめました。
”研究開発インターン実施の有無”は研究職または開発職に特化したインターンを過去に実施していたかを、”インターン経由の選考の有無”はインターンを本採用選考に活用したかを表しています。
企業名 | 研究開発職インターン 実施の有無 | インターン経由の 選考の有無 |
明治 | ー | ー |
味の素 | ◯ | ー |
サントリーホールディングス | ◯ | ー |
キリンホールディングス | ◯ | ◯ |
アサヒビール | ◯ | ー |
サッポロビール | ー | ー |
カゴメ | ◯ | ー |
キッコーマン | ー | ー |
キューピー | ◯ | ー |
ミツカングループ | ? | ? |
ヤクルト本社 | ? | ー |
日清食品 | ー | ー |
ハウス食品 | ◯ | ー |
ロッテ | ◯ | ー |
森永製菓 | ◯ | ー |
江崎グリコ | ー | ◯ |
マルハニチロ | ー | ー |
森永乳業 | ◯ | ◯ |
アサヒ飲料 | ◯ | ー |
雪印メグミルク | ー | ー |
山崎製パン | ? | ◯ |
6割程度の企業が研究職もしくは開発職のインターンを実施しており、この数は私が就活をしていた数年前と比較し確実に増えています。
さらに、インターンと本採用選考が直結している企業が数社あることにも驚きです。
ただし、表向きはインターンと本選考とは関係ないとしつつも、本選考にも少なからず影響がある企業が多いのも事実だと考えられます。
私が所属する企業では、インターン終了後に「印象に残った学生の名前」をアンケートで集めていたりしました。
研究職志望ならインターンに参加すべき?
ここまでインターンに関する客観的な情報を中心にお伝えしてきました。
ここからは研究職ならインターンに参加すべきかについて、私なりに注意が必要な3つのポイントについて解説してきます。
事前に企業研究、自己分析を徹底すべき
企業側は採用そのものをインターンの目的としていることがあり、なかにはインターンが本選考に直結していると公にしている企業もあるとお伝えしました。
ですので、「就活の予行演習」や「自己分析を深めるため」など漠然とした理由でインターンに参加すると、インターン経由の選考に呼ばれないだけではなく、本選考(インターン経由ではない一般の選考)にも影響する可能性があります。
現段階での就活に対する考えや志望企業、志望理由などを明確に言語化しておくことを強くお勧めします。
自己分析の方法については、こちらの記事で解説していますので参考にしてみてくださいね。
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対象職種を吟味すべき
メーカーであれば、技術系職種の中にも生産技術職、開発職、研究職と多様な職種があり、インターンもそれぞれに特化して実施している場合があります。
例えば、研究職志望であるにも関わらず生産技術職のインターンに参加すると、工場勤務を主体とした内容になるので期待外れになってしまう可能性があります。
もちろん職種にとらわれず視野を広げることが目的であるならば、参加してみる価値は十分あります。
実際に研究職志望だった友人がインターンをきっかけに生産技術職に志望を切り替えた例もありますので。
インターン内容を吟味すべき
なかには、1dayインターンなど短期間でのプログラムが組まれているものもあります。
気軽に参加できるメリットがある一方、1日で得られる情報は想定以上に少なく、企業のホームページや説明会で代替できるものがほとんどだと考えます。
せっかく企業研究や自己分析を行うのであれば、より深くその企業のことや職種について理解を深めたいですよね。
1つの基準として、3日以上のインターンを選ぶことをお勧めします。
まとめ
理系学生は研究にも時間を要します。
一方でインターンに参加するとなれば、インターン参加日だけではなく、選考や事前の企業研究、自己分析にある程度の時間をかける必要があります。
このトレードオフが難しいところではありますが、本記事のここまでの内容を踏まえて、今私が就活をするのであれば、以下の基準でインターン参加を考えます。
基準
- 事業内容や研究内容、勤務地などをもとに考え、どうしても内定が欲しいと思える企業か
- 研究職または研究開発職に特化した内容か
- 単なる会社説明だけではなく、ワークショップや現役研究員と対話ができる内容か
マイナビ2023をみると、上記の食品企業でもすでに研究開発職のインターンを募集している企業がいくつかありました。
戦略的にインターンに参加しないのも一手ですが、志望企業のインターンが開催されていることを知らなかったとならないようにしましょう。
本記事が皆さんの進路を決める参考になれば幸いです。