という質問を多数頂きます。
新型コロナウイルスの影響でOB訪問もままならず、不安を抱える就活生も多いはず。
そこで私アルファが、なぜ食品企業の研究職として働くことを決めたのかという経験談をお伝えし、皆さんのOB訪問の一例として活用頂ければと考えました。
こんな方に読んで欲しい
- 博士課程進学と就職を迷っている理系学生
- 研究職を志望することを迷っている就活生
- どんな志望動機で食品メーカーに就職したか、過去の事例を知りたい就活生
目次
博士課程に進学しなかった理由
学生生活を振り返る
理学部生物学科の出身で、修士課程での研究テーマは、とある遺伝子の発現制御とかなりの基礎研究を行っていました。就職無『理学部』と揶揄された学部の中でも、とりわけ厄介な生物系の専攻です。
学部4年になる頃に「教授の授業が面白かった」という理由で研究室を選び、同級生のうち9割近くが修士課程に進学するという理由で何も疑問に感じることなく修士課程進学を選びました。そして指導教官の手厚く厳しすぎる指導と重なりまくった幸運により、修士課程1年のときにCNS姉妹紙に研究成果を投稿することができました。
修士課程では十分すぎる実績もできたし、アカデミアの研究者として生きていくのもいいんじゃないかと壮大な勘違いをし始めた頃、友人から「インターン」や「ES」というワードを頻繁に聞くようになります。
悩みに悩んだ就活解禁1ヶ月前
普段は学問と噂話にしか興味を示さない教授から、就活解禁のタイミングを見計らったように学振関連の書類が送られてきました。博士課程進学を真剣に考えていたものの、同級生の多くが就活準備を始める中、本当にこのまま進学しても良いのか?という考えが日に日に大きくなっていきます。
博士課程進学か就活か。悩まれている方も多いのではないでしょうか。
当時の悩みを書き出すとこんな感じ。
博士課程に進む不安
- 同じような研究をあと3年間もして大丈夫なんだろうか
- 就職するチャンスを逃しても後悔しないだろうか
就活をする不安
- 作り上げきたテーマを修士課程で終わらせるのはもったいない
- 就職して博士号が取れなくても後悔しないだろうか
ところで、就活を成功させるポイントの一つは、解禁前なるべく早くから行動することです。自己分析や企業研究、OB訪問が王道で、就活解禁の数ヶ月前から準備を始めた友人が何人もいました。
その点、私はそもそも就活をするかの時点で悩んでいたので、就活生としてかなり出遅れていました。
「それでお前のやりたいことは何なの?」
就活にシフトする後押しとなったのが、「お前のやりたいことは何なの?」という先輩からのアドバイスでした。
当時抱えてた悩みは、「〇〇できなかったらどうしよう」とか「〇〇なチャンスを逃しても後悔しないだろうか」などネガティブなものばかりだったんです。
先輩からのアドバイスは、「博士課程か就職かの選択は、人生の中でも結構大きな決断でしょ?その決断をネガティブな感情で決めていいの?こんなことがしたいとかポジティブに考えられる道がいいんじゃない?」というものでした。
至極まっとうなアドバイスで、とても納得した記憶があります。
やりたいことは何なのか? 私にとってそれは研究そのものではなく、自分が作り出したものを世の中にアウトプットしていく行為でした。
やりたいことは人それぞれです。他人に決められるものではありません。
裏を返せば、自分自身で決める必要があります。
そして、博士課程か就職かの選択で人生は大きく変わります。
このタイミングで、目の前の小さな成果や周囲の意見に流されず、自分自身と向き合って決断することが重要だと思っています。
研究職を目指した理由
軸がなかった就活初期
就活をすると決めたものの、あえて研究職に職種を絞ることはしませんでした。
修士課程ではバイトもせずにほとんど研究室で生活していたような学生です。社会のことなんてほとんどわかりません。
自分の知らない業種や職種があるはずで、初めから研究職に絞ることは機会損失だと考えたためです。軸を決めるのが大切と良く言われますが、就活初期には無理な話です。
そこで就職活動が始まって1ヶ月は、とにかく社会人と話そうと決めました。商社やJRの社員懇談会、メーカーの工場研究所見学、先輩へのOB訪問などなど。
今振り返れば、研究しかしていなかった生活を強制的に就活モードに切り替えられた良いきっかけだったと思います。
「あなたの就活には根拠がないね」
就活初期は業種も職種も広く見ていたのですが、やっぱり研究者として社会に出てみようと決めた出来事がありました。JR東海のリクルーター面談です。
志望動機をリクルーターに話したところ、「志望動機に根拠がないんだよね。学生時代にこんなことを頑張ったから社会でも通用するか挑戦してみたいとか、学生時代にこんなことにやりがいを感じたから社会に出てからも続けてみたいとか、そういうのないの?」と。
これが、就活の軸を見つける良いきっかけになりました。
漠然とした希望ではなく、自身の経験をもとに志望動機を語らないと社会人には響きません。何千も提出されるエントリーシートに埋もれてしまいます。
この視点で就活を見直したところ、学生時代の一番自信を持てる経験は研究だと再認識することができました。
学生時代の研究が楽しくて、少しは結果も残せた。大学で研究を続けるのではなく、次のステージで社会に広くインパクトを与えるような仕事をしたい。
これが志望動機として一番ストレートで、就活の軸として考えるようになったのです。
食品企業を志望した理由
生物系研究職の選択肢
冒頭で理学部生物学科が就活で不利なのではないかと書きました。当時私の周りではこんなことが言われていたためです。
「製薬企業なら理学部よりも薬学部が強い、食品企業なら理学部よりも農学部が強い、化粧品企業なら生物学科よりも化学科が強い」
したがって私の就職先の選択肢は、製薬でも食品でも化粧品でもなく、生物学の知識が活かせて、研究にも力を入れているような企業となったわけです。大きな企業であれば、おそらく数える程しかないでしょう。
しかし、結果的には全くのデタラメだったことがわかりました。
製薬企業でも食品企業でも化粧品企業でも門戸は開いており、実際にどの業種の企業からも内定を頂くことができています。
社会人になって知ったことですが、修士課程の学生の採用基準は研究内容のマッチングよりも、研究や実験に対する姿勢を重視していることが多いようです。
学生時代の研究分野を一生の専門分野とする必要はありません。社会や業界を広くみて、自ら可能性を狭めることがないようにして欲しいと思います。
なぜ食品企業の研究職を目指したか
幸いにして、いくつかの企業から内定を頂けたわけですが、入社できる企業は1つしかありません。
なぜその中から食品メーカーを選んだのか、それは採用人数の少なさが理由でした。
研究職の採用人数が100名を超えるような企業もあったのですが、あえて研究職の採用枠が少ない企業を選んだのです。博士課程に進学するかどうかを迷っていたわけですから、研究という仕事はとても魅力的です。
しかし、博士課程に進学しないと決めたからこそ、研究だけにとらわれるのはもったいないと考えました。
そして、研究員が少ないからこそ他社や大学とのコラボレーションが盛んなのではないかと予想していました。実際はその読み通りで、入社数年目にして社外の研究機関で研究する機会を頂けています。このあたりの話は別の記事にしようと考えています。
食品メーカー志望ならこれだけは知っておいてほしい
就職希望・人気企業ランキングを見ていると、食品メーカーが比較的上位に位置していることがあります。
食品メーカー勤務としては嬉しい限りですが、これは一般消費者への露出の高い企業が上位に来ているに過ぎないと考えています。
そこで注意しなければいけないことは、こちらのツイートの通りです。
食品メーカーに限らず、皆さんがよく目にするメーカーには、多くの応募が集まることが予想されます。必然的に倍率が高くなります。
その競争を勝ち抜くためには、消費者目線ではなく、将来の社員目線で就活に臨むことが大切です。
まとめ
今回は、博士課程進学を迷い就活に出遅れていた私が、なぜ食品企業の研究職に就職したかという経験談をお話しさせて頂きました。
就活のスタートは遅かったものの、博士課程進学を悩んだことは自己分析そのもので、なぜ働くのかを深く考えるきっかけになりました。
また、就活初期に研究職に絞らず情報を取ってきたことで、結果的に研究職を目指して就活をする軸ができました。
そして、研究職がレアキャラとして扱われる食品企業に就職したことで、今は会社という枠を超えて仕事ができています。
しかし、これらはn=1の再現性も何もない経験談です。
こうすれば就活が全てうまくいくというものではありませんが、進路を自分なりに考えて頂けるきっかけになれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。